標的RNAを高効率・特異的に切断可能なオリゴキメラ人工核酸
高活性でオフターゲット効果を低減可能な次世代核酸創薬技術
概要
従来の核酸医薬は、標的RNAと1:1ハイブリッド形成を経て、自身も消化されて薬効を発現する。薬効を高めオフターゲット毒性を低減するために、DDSや投与量自体の低減が工夫されているものの、活性とのトレードオフ問題で期待通りの薬効が得られない点が今後克服すべき課題とされている。
本発明技術は、最適に設計して合成されたオリゴキメラ人工核酸が、標的RNAとのハイブリッド形成を経て、ユビキタスに存在するRNaseHによる切断と離合の触媒的切断サイクル[1]を、自身が切断されることなく繰り返すことが大きな特長である。そのために、高い活性(従来比20~200倍のnMオーダーで薬効が得られる高力価)が期待でき、オフターゲット効果の低減が期待されている。
特許技術はこの分子設計技術を含むもので、標的RNAの切断したい部位に相補的なキメラ分子によるDNA-RNAジャンクションを設計し[2]、 DNA-PNA/PRNAを合成する。RNase Hによる標的RNAハイブリッドでの切断解析では、DNA-PNAジャンクション部位において特異的なRNA切断だけが観察され、天然型DNAでは、想定通り非特異的な部位での切断片が観察された。このキメラ核酸とRNA断片との複合体の切断前/後のTmは22.3 /18.8 ℃であるために、体温下で速やかに解離してリサイクリング反応による触媒的効果を発現する。
性能・特徴等
応用例
・感染症、遺伝性疾患、希少疾患、がん等を標的とする次世代核酸医薬
・アンチセンスやsiRNAによる既存開発品を当技術に置き換えた、より高い薬効で副作用の少ない核酸医薬
関連文献
Nowotny, M. et al., Mol. Cell, 2007, 28, 264.
知的財産データ
知財関連番号 : WO2021/015234
発明者 : 和田 健彦
技術キーワード: 核酸医薬、キメラ分子、RNA切断