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発明案件

東北大学技術
整理番号:T20-3056

低融点合金ロウ材

ナノ粒子の融点降下現象を用いて、1000℃未満で融解する貴金属修復用のロウ材

概要

 貴金属宝飾品に生じたキズ・割れを修復する方法として、合金から成るロウ材をキズ・割れ部に載置し、ロウを熱融解する方法が用いられている。貴金属はその合金組成により多様な色味を示すため、ロウ材には貴金属地金と似た合金組成を持つものを使用して、色味が変わらないように修復する必要がある。現状の修復方法は、合金ロウを融解するために1300~2500℃のバーナーを用いて手作業で行う必要があるため、 宝石等への熱ダメージや、熟練職人の減少などの問題点が指摘されている。
 本発明は、低温で熟練を要しない融解が可能な、貴金属の低温修復方法とそのロウ材に関するものである。本ロウ材は、粒径1桁nmの合金ナノ粒子を主成分としているため、金属ナノ粒子の融点降下現象により、 1000℃超のバーナーを使わずに融解できることが最大の特徴である。ナノ粒子の合成には、レーザー誘起核生成法という独自の手法を用いている。 この手法は、レーザー照射により任意組成の固溶合金ナノ粒子(平均粒径10nm以下)を合成できるため、貴金属地金と同組成のロウ材を作成でき、修復前後で一切色味が変わらない。右記は、一粒子内に銅 (赤色点)・パラジウム(青色点)・金(緑色点)が均一分布した固溶合金ナノ粒子を主成分とするロウ材のSEM画像である。粒径が10nm以下であるため、実際に500℃を大きく下回る温度で融解していることが分かる。

低融点合金ロウ材

ロウ材のSEM画像とDSCによる融点計測結果

低融点合金ロウ材

応用例

・特に文化財やアンティーク等の、いわゆる一点物の貴金属を対象とした修復用ロウ材
・上記の貴金属修復受託サービス

知的財産データ

知財関連番号 : 特開2023-055155
発明者    : 中川 勝、中村 貴宏、早川 俊昭
技術キーワード: 材料







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