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発明案件

東北大学技術
整理番号:T20-457_T21-086

生細胞の核小体RNA検出用蛍光色素

高輝度・高い光安定性・明瞭なLight-up応答を実現エンベロープウイルス検出・ワクチン品質検査へも応用可能

概要

 市販されている細胞内核小体RNAイメージング色素はSYTO™  RNASelect™の1種類しかなく、さらにこの色素は生細胞に適用できない、光安定性に乏しい、蛍光波長が比較的短波長という課題を抱えている。佐藤雄介 准教授らは最近、SYTO™   RNASelect™の弱点を克服した、生細胞適合性を有し、高い光安定性・近赤外蛍光を示すRNAイメージング色素BIQ(文献1)を開発した。その一方で、RNA結合状態での蛍光量子収率は0.0085と小さく、蛍光輝度に関して改良すべき問題点があった。
 本発明のBIOPはRNA結合時の蛍光量子収率が0.42を示し、BIQと比べて格段に高輝度な生細胞RNAイメージングを実現した。またBIOPはBIQ同様に、市販色素と比べて優れた蛍光特性を有している。また、細胞膜浸透性に優れており、短時間(20分)で生細胞内の核小体RNAを高いコントラストで染色することができる(下図)。更に重要なことにBIOPはほとんど細胞毒性を示さず、24時間以上の長時間観察も可能である。
 BIOPはその優れた蛍光特性と膜透過性により、ゲノムRNAを内包するエンベロープウイルス(HCoV-229E, ヒト風邪コロナウイルス)の迅速検出(~10分)にも適用できる。これはBIOPがウイルスの脂質膜(エンベロープ)構造を透過し、内包RNAとの結合により、蛍光応答を示すことに起因している。
 また、BIOPは脂質ナノ粒子型ワクチン(mRNAワクチン)の品質管理にも有用である。たとえばワクチンのRNA内包率やワクチンの品質低下に基づくRNA漏出の計測に適用できることを見出している。mRNAワクチンのモデル製剤を用いた場合、BIOPの検出限界は~107個/mLであるため、例えばファイザー社の BNT162b2ワクチン(1製剤あたり約4×1013個/mL)には十分使える感度と考えられる。

生細胞の核小体RNA検出用蛍光色素

性能・特徴等

生細胞の核小体RNA検出用蛍光色素

応用例

・生細胞内RNA(核小体RNA)イメージング
・ ゲノムRNAを内包するエンベロープウイルス検出→簡易ウイルス診断への応用
・ RNAワクチンの品質検査用

関連文献

[1] Anal. Chem. 2019, 91, 14254. [2] ACS Omega, 2022, 7, 13744.

知的財産データ

知財関連番号 : 特許第7029841号、特願2021-200447、PCT/JP2021/030716
発明者    : 佐藤 雄介、西澤 精一、永富 良一 ら
技術キーワード: RNAイメージング、蛍光色素、mRNAワクチン品質管理







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